有元葉子先生のコラム

イタリアンリネンとオラータのメープル味噌漬け ~メープルシロップを和食に使ったきっかけ~

私の家があるのはイタリアのウンブリア州。地中海側をトスカーナ州、ラツィオ州に、そしてアドリ海側をマルケ州に囲まれた、半島部で唯一、海岸線をもたない、丘と緑の州です。


州都はペルージャ。私の家は城壁に囲まれた、ローマ時代からある小さな町の元修道院の一部。雑誌の取材の前に一人でイタリアを旅している時に偶然出会ったのですが、一目で気に入ってしまいました。はじめは言葉の壁にとまどいつつでしたが、鉄製のカーテンレールやカーテンなど内装のすべてを、自分一人で整えていきました。


そのカーテンを探していた時、ちょうど山向こうに、リネンで有名な村があることを近所の方が教えてくださったの。イタリアでは、町や村に、代々続いているリネン屋さんがあって、オリジナルのレースがあり、誰でも好きな模様を注文して作ってもらうことができるんです、時間はかかりますけれど。

上の写真はそのアンティークリネンのバスタオルを小さなカーテン代わりにしているおふろ場の窓からの眺め。自然な色合い、そして昼間の光の中でも微妙な陰影を見せてくれるのがたまらなく好きです。

そして、右の写真は南イタリアのテーブルクロスです。この他、優美なふちどりのあるティーマット、ナプキン、そしてハーブを入れるポシェットと、私はすっかりイタリアンリネンの虜となってしまいました。

さて、家も整い、そのころまでに仲良くなっていた近所の人々をお招きして、おもてなしをしたいと思いました。イタリアには、オラータ(Orata/鯛の一種)という白身の魚がありますので、味噌漬けにしたいと思ったのです。でもお味噌はありましたが、みりんがありません。そこで思いついたのが、みりんの代わりにメープルシロップを使ってみようということでした。そしてお酒の代わりに赤ワインを使い、オラータのメープル味噌漬けをつくったところ、それが大好評でした。これが和食にメープルシロップを使ってみようと思ったきっかけなんです。
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